下書き3つ。

池袋駅改札に着いた途端、傲慢で非常識なバターの匂いが鼻に来た。
「バターの匂いがしたら食べたくなるでしょう?」みたいな、「チーズ伸ばしとけばみんな好きでしょう?」みたいな、壁一面をピンクで塗りたくるタイプの原宿のファンシーショップみたいな。繊細の対義語。
期間限定でやってきてた極上カヌレが犯人だった。

 

高音の「あ」と低音の「あ」の違いがザラザラして、紙やすりみたいになって、私の脳を削っていく。
「あ」だったら同じもののはずなのに、音の高さが違うこと、分かり合えなくて、どうにかこうにか合わせようとするんだけど、その人の出し方によって全然同じものにならなくて、その合わなさがザラザラする。

ザラザラするのに、それをなかったことにすることが、もっとザラザラさを際立たせてる。

 

漢字の言葉に私のからだが踏み潰されている気がする。
にんげんのかんかく、かんじょうが分からない機械的な足裏が、何の感情もなく踏み続ける、踏み続けるというより、足を動かし続ける、その人にとってはただの運動でしかないものだけど、その下で潰れていくもの